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居住用財産の特例と相続空き家の特例の違いとは?3,000万円控除の使い分けを図解

不動産コラム

安孫子 桂也

筆者 安孫子 桂也

不動産キャリア15年

20代で仙台の分譲マンション販売に携わり、その後、大手不動産会社にて経験を積みました。まだまだキャリアは15年ほどと浅いですが「お客様に寄り添ったわかりやすい説明」を心がけております。

居住用財産の譲渡の特例と相続空き家の特例の違い
3,000万円控除、どっちが使える? マイホームの特例 自分が住んでいた家を売る 控除額:最大3,000万円 空き家 相続した空き家の特例 亡くなった親の家を相続して売る 最大3,000万円(3人以上は2,000万円) VS 居住用財産の特例 と 相続空き家の特例 の違いを解説

居住用財産の譲渡の特例と
相続した空き家の特例、何が違う?

「家を売ったとき、税金が3,000万円まで安くなる特例がある」と聞いたことはありませんか? 実はよく似た名前の特例が2つあります。「マイホームを売る特例」と「相続した空き家を売る特例」です。どちらも最大3,000万円を控除できますが、使える人も条件もまったく別もの。この記事では、違いを図と表でやさしく整理します。

① まず結論:ひと言でいうと何が違う?

居住用財産の譲渡の特例

自分が住んでいた家を売るときの特例。住んでいた本人が使います。

相続した空き家の特例

亡くなった親などが住んでいた家を相続して売るときの特例。相続人が使います。

つまり「誰が住んでいたか」が最大の分かれ道です。次の図で流れを見てみましょう。

① マイホームの特例(居住用財産) 自分が住んでいた (売る本人が居住) 引っ越しなどで 住まなくなる 住まなくなってから 3年後の12月31日まで ② 相続した空き家の特例 亡くなった親が ひとりで住んでいた 相続で あなたが取得 相続から3年後の 12月31日まで(※) どちらも売却益から最大3,000万円を差し引ける ※ 空き家の特例は、他にも期限や条件があります(後述)

図1 2つの特例の流れ

② 比較表でチェック

細かい条件を、表にまとめました。ここがいちばん大事なところです。

項目居住用財産の譲渡の特例
(マイホーム)
相続した空き家の特例
対象になる人家を売る本人(その家に住んでいた人)亡くなった方(被相続人)の家を相続・遺贈で取得した人
誰が住んでいた?売る本人亡くなった方が住んでいた(相続の直前に、ほかに住んでいた人がいない)
建物の建築時期決まりなし昭和56年5月31日以前に建築(旧耐震基準)
マンション対象になる対象外(区分所有建物は不可)
売る期限住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日まで、かつ令和9年(2027年)12月31日まで
控除額最大3,000万円最大3,000万円
(相続人が3人以上なら2,000万円)
売却価格の上限なし1億円以下
建物の状態決まりなし建物を残して売るなら耐震基準を満たすこと、または取り壊して土地だけ売ること
※売却後に買主が耐震改修・解体をする場合も、一定の条件で対象
相続後の使い方—相続してから売るまで、貸さない・事業に使わない・住まない
回数の制限3年に1回
(前年・前々年に使っていないこと)
同じ被相続人からの相続について、相続人ごとに1回
手続き確定申告市区町村で「被相続人居住用家屋等確認書」の交付を受け、確定申告
覚え方:マイホームの特例は「自分が住んでいた家」。空き家の特例は「親が住んでいて、いまは空き家になった古い家」。空き家の特例のほうが、築年数・価格・使い方などの条件がぐっと細かいのが特徴です。

③ 売れる期限の違い(図解)

特に気をつけたいのが期限です。たとえば、2026年10月に「住まなくなった」「相続した」場合を図にしてみました。

2026年2027年 2028年2029年 マイホームの特例 → 2029年12月31日まで 空き家の特例 3年ルールだけなら2029年12月31日まで 2027年12月31日 (現行制度の適用期限が先に来る) 2026年10月:住まなくなった/相続した

図2 2026年10月に住まなくなった・相続した場合の売却期限(イメージ)

マイホームの特例は「住まなくなってから3年後の年末」まで。一方、空き家の特例は「相続から3年後の年末」に加えて、制度そのものの適用期限(令和9年12月31日)があります。今の制度のままだと、2026年に相続した場合でも2027年中に売らないと間に合いません。

空き家の特例の適用期限は、今後の税制改正で変わる可能性があります。売却を考えるときは、その時点の最新ルールを必ず確認してください。

④ どっちが使える? 判定チャート

「自分の場合はどっち?」を、3つの質問で確認できます。

質問1 売る家には、売る本人が住んでいた? はい マイホームの 特例を検討 いいえ 質問2 亡くなった親(被相続人)が住んでいた家を 相続や遺贈で取得した? いいえ どちらも対象外の 可能性あり はい 質問3 昭和56年5月31日以前の建築で、 マンション(区分所有)ではなく、 親が一人で住んでいた? いいえ 空き家の特例は 対象外の可能性 はい 相続した空き家の特例を検討 (売却価格1億円以下・期限・耐震などの条件も確認)

図3 どっちの特例? 判定チャート

よくある勘違い:相続した実家にあなた自身が住んでいた場合は、空き家の特例ではなく、マイホームの特例が基本です。「相続した家」=「空き家の特例」とは限りません。

⑤ どれくらい税金が変わる?

イメージをつかむために、売却益(譲渡所得)が4,000万円出た場合を比べてみましょう。

特例を使わない場合 課税される金額 4,000万円 → 税金 約813万円 3,000万円控除を使った場合 控除 3,000万円(税金なし) 課税 1,000万円 税金 約203万円 その差、約609万円!

図4 税額のイメージ(売却益4,000万円・所有期間5年超の場合)

※ 税率は、所得税・住民税・復興特別所得税を合わせて約20.315%で計算した目安です。実際の税額は、取得費や譲渡費用、所有期間などで変わります。

⑥ 両方使える? 併用のルール

「マイホームを売って、同じ年に相続した空き家も売った」という場合は、どうなるのでしょうか。

  • 同じ年に両方の特例を使えますが、控除額は合計で3,000万円が上限です。
  • 空き家の特例は、「相続財産を譲渡した場合の取得費加算の特例」とはどちらか一方を選ぶことになります。

どの組み合わせが得になるかは、売却益の大きさによって変わります。迷ったときは、売却前に税理士や税務署へ確認しておくと安心です。

⑦ 注意したいポイント

① 家族への売却は対象外

配偶者、親、子、生計を一にする親族などに売る場合は、どちらの特例も使えません。

② 空き家の特例は「空き家のまま」が条件

相続してから売るまでの間に、人に貸したり、自分で住んだり、事業に使ったりすると、特例が使えなくなります。「売る前に少しだけ貸そう」は要注意です。

③ 家を壊すときは順番と条件に注意

マイホームの特例でも空き家の特例でも、建物を取り壊してから土地を売る場合は、別の条件があります。解体を決める前に、先に確認しましょう。

④ 空き家の特例は「確認書」が必要

空き家の特例では、家のある市区町村で「被相続人居住用家屋等確認書」の交付を受け、確定申告に添付します。準備に時間がかかるので、早めの手配が大切です。

⑤ 確定申告が必要

どちらの特例も、売却した翌年の確定申告で申請します。売却益が3,000万円以下で税金がゼロになる場合も、申告は必要です。

⑧ まとめ

この記事のポイント
  • 最大の違いは「誰が住んでいた家か」。自分が住んでいたならマイホームの特例、亡くなった親が住んでいた家を相続したなら空き家の特例。
  • 空き家の特例は、昭和56年5月31日以前の建築・1億円以下・耐震または解体など条件が細かい。
  • 空き家の特例には令和9年12月31日までの適用期限があり、期限は早めに確認が必要。
  • 相続人が3人以上だと、空き家の控除額は2,000万円。
  • 同じ年に両方使っても、控除は合計3,000万円まで。
  • どちらも確定申告が必要。空き家の特例は市区町村の確認書も必要。

※ この記事は2026年10月時点の制度をもとにした一般的な解説です。税金は個々の状況で結果が変わりますので、実際に売却する前には、税務署や税理士にご確認ください。

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