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専任媒介契約に新たな規制が! 2025年施行の囲い込み規制を解説

不動産コラム

安孫子 桂也

筆者 安孫子 桂也

不動産キャリア15年

20代で仙台の分譲マンション販売に携わり、その後、大手不動産会社にて経験を積みました。まだまだキャリアは浅いですが、不易流行を座右の銘とし、時代にあった不動産屋を確立します。

不動産取引において、専任媒介契約は重要な役割を果たしてきました。

しかし、2025年1月から施行される新たな囲い込み規制により、この契約形態に大きな変化が訪れます。

本記事では、専任媒介契約の基本的な概念から、新規制の詳細、そして不動産業界や消費者への影響まで、幅広く解説します。不動産取引の透明性向上と、より公平な市場環境の実現に向けた、この重要な制度改革について詳しくご紹介します。

不動産取引において、売主様と不動産業者の間で結ばれる重要な契約があります。

それが「専任媒介契約」です。この契約は、不動産の売却を特定の不動産業者に任せる形態を指します。

専任媒介契約の特徴は、契約期間中、売主様が他の不動産業者に重ねて依頼することができない点にあります。

つまり、一社専属で不動産の売却を任せることになります。

この契約形態により、不動産業者は責任を持って物件の販売活動に専念することができます。

一方で、「一般媒介契約」という形態もあります。

これは、複数の不動産業者に同時に販売を依頼できる契約です。専任媒介契約と一般媒介契約の主な違いを以下の表にまとめました。

項目 専任媒介契約 一般媒介契約
契約先 一社のみ 複数社可能
業者の責任 高い 比較的低い
報告義務 あり(週一回以上) なし

専任媒介契約では、不動産業者に対して週一回以上の業務報告義務が課されています。

これにより、売主様は販売活動の進捗状況を定期的に把握することができます。

また、不動産業者側も責任を持って販売活動に取り組むことになります。

ただし、専任媒介契約には注意点もあります。契約期間中は他の不動産業者に依頼できないため、売却活動が思うように進まない場合、売主様にとってはデメリットとなる可能性があります。

そのため、契約を結ぶ際は、不動産業者の実績や信頼性をよく確認することが大切です。

このように、専任媒介契約は売主様と不動産業者の双方にとって重要な意味を持つ契約形態です。

不動産取引を行う際は、自身の状況や希望に合わせて、適切な契約形態を選択することが望ましいでしょう。

囲い込み規制の概要

不動産取引における「囲い込み規制」は、取引の透明性を高め、消費者の利益を守ることを目的としています。

この規制は、特定の不動産業者が物件情報を独占的に扱うことを防ぎ、より公平な市場環境を作り出すための重要な施策です。

囲い込み規制の主な目的は以下の通りです。

目的 内容
情報の公開性向上 物件情報を広く公開し、多くの購入希望者に機会を提供する
取引の公平性確保 特定の業者による情報独占を防ぎ、公平な競争環境を整える
消費者利益の保護 より多くの選択肢を提供し、最適な物件選びを可能にする

規制の対象となる主な行為には、次のようなものがあります。

まず、専任媒介契約を結んだ物件情報を他の不動産業者に提供しないこと。

次に、物件情報をインターネットなどで広く公開しないこと。

さらに、売主や買主に対して、他の不動産業者との取引を不当に制限することなどが挙げられます。


これらの行為は、物件情報の流通を妨げ、取引の透明性を損なう可能性があるため、規制の対象となっています。

囲い込み規制により、不動産市場全体の健全性が向上し、消費者にとってより良い取引環境が整備されることが期待されています。

不動産業界全体としては、この規制を通じて、より開かれた市場を形成し、消費者からの信頼を高めることが重要な課題となっています。

同時に、各不動産業者にとっては、情報共有のあり方や営業戦略の見直しが必要となる可能性があります。

2025年1月施行の専任媒介契約における囲い込み規制

2025年1月から施行される専任媒介契約における囲い込み規制は、不動産取引の透明性と公平性を高めることを目的としています。この新たな規制により、不動産業界に大きな変化がもたらされることが予想されます。

新たな規制の主な内容は以下の通りです。

項目 内容
情報公開義務 専任媒介契約を結んだ物件情報を、指定流通機構に7日以内に登録することが義務付けられます。
価格変更の報告 売却価格や賃料の変更があった場合、5日以内に指定流通機構に報告する必要があります。
他社への情報提供 他の不動産業者から物件情報の照会があった場合、速やかに回答することが求められます。

この規制により、不動産業者は従来の営業方法を見直す必要が出てくるでしょう。

特に、物件情報の独占や囲い込みに頼ってきた業者にとっては、大きな転換点となります。

一方で、この規制は不動産業界全体の信頼性向上につながる可能性があります。

情報の透明性が高まることで、顧客満足度の向上や、より公正な競争環境の整備が期待できます。

不動産業者にとっては、この規制を前向きに捉え、新たなビジネスモデルの構築や、サービスの質の向上に取り組むチャンスとも言えるでしょう。

顧客のニーズにより細やかに応えることで、競争力を高めることができるかもしれません。

この規制の施行に向けて、不動産業者は自社の業務フローを見直し、必要な体制整備を進めることが重要です。

また、顧客に対しても、この規制の意義や影響について丁寧に説明し、理解を得ていく必要があるでしょう。

消費者にとっての囲い込み規制のメリット

専任媒介契約における囲い込み規制は、不動産取引の透明性を高め、消費者の利益を守ることを目的としています。

この規制によって、消費者にはどのようなメリットがあるのでしょうか。主に以下の2点が挙げられます。

物件情報の透明性向上

囲い込み規制により、不動産業者は物件情報を積極的に公開することが求められます。

これにより、消費者は多くの物件情報にアクセスできるようになります。

透明性が向上することで、以下のような利点が生まれます。

メリット 内容
情報の正確性 複数の業者が同じ物件情報を扱うため、情報の正確性が高まります
比較検討の容易さ 多くの物件情報を一度に見ることができ、比較検討が容易になります
市場動向の把握 より多くの物件情報に触れることで、市場動向を把握しやすくなります

選択肢の拡大

囲い込み規制によって、消費者の選択肢が大幅に拡大します。

これまでは、一つの不動産業者と専任媒介契約を結ぶと、その業者の提案する物件しか見ることができませんでした。

しかし、規制後は以下のようなメリットが生まれます。

1. 多様な物件との出会い:複数の不動産業者が物件情報を共有するため、より多くの物件と出会う機会が増えます。

2. 価格競争の促進:複数の業者が同じ物件を扱うことで、価格競争が促進され、より適正な価格で物件を購入できる可能性が高まります。

3. サービスの質の向上:不動産業者間の競争が激しくなることで、消費者へのサービスの質が向上することが期待されます。

このように、囲い込み規制は消費者にとって大きなメリットをもたらします。

物件選びの幅が広がり、より自分に合った物件を見つけやすくなるでしょう。

また、不動産取引の透明性が高まることで、安心して取引を行うことができるようになります。

まとめ

専任媒介契約における囲い込み規制は、不動産取引の透明性を高め、消費者の利益を守るための重要な施策です。

2025年1月の施行に向けて、不動産業者は新たな規制に適応する準備が必要です。

一方、消費者にとっては物件情報へのアクセスが容易になり、より多くの選択肢から最適な物件を見つけられるようになります。

この規制により、不動産市場がより公正で活性化されることが期待されます。今後の動向に注目しましょう。

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