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相続の悩みはいつから考えるべき?夫婦で準備を始めるポイントを紹介

不動産コラム

安孫子 桂也

筆者 安孫子 桂也

不動産キャリア15年

20代で仙台の分譲マンション販売に携わり、その後、大手不動産会社にて経験を積みました。まだまだキャリアは15年ほどと浅いですが「お客様に寄り添ったわかりやすい説明」を心がけております。

「もし、今のうちから相続の準備を始めていたら…」こんな不安や疑問を感じたことはありませんか?

特に50代・60代のご夫婦にとって、相続はまだ先の話と思われがちですが、いざという時に慌てないための備えはとても大切です。

本記事では、相続の基本から、今やるべき具体的な対策、そして重要な法律・税務の基礎まで、分かりやすく解説します。

ご自身とご家族の安心を守る第一歩を踏み出しましょう。

相続への基本的な理解と50代・60代夫婦が直面する課題

まず、相続とは「亡くなった方の財産や債務を、一定の法定相続人が承継すること」であり、配偶者や子、直系尊属など法定相続人の範囲や順位が法で定められています(例:配偶者と子が相続人の場合、配偶者が1/2、子が残り1/2を相続)。

相続には主に以下のような手続きの流れがあり、時期ごとに対応が必要です:

相続開始直後は、死亡届の提出(7日以内)や火葬許可申請などがあり、3ヶ月以内には相続放棄・限定承認・単純承認の選択、4ヶ月以内に準確定申告、10ヶ月以内に相続税の申告が必要となります。不動産がある場合、相続登記は取得を知った日から3年以内に申請が義務化されています。

50代・60代夫婦が相続を考える際、特有の課題も出てきます。

例えば、相続税の負担、特に配偶者控除や小規模宅地等の評価減など、大きな特例の適用機会がある一方、遺産分割が整わないと適用が受けられないリスクもあります。

また、持ち家を相続する場合には固定資産税や維持管理費などの費用負担も無視できません。

さらに、遺言書の有無、誰にどのように財産を残すか、相続放棄や限定承認など選択肢の判断も必要になります。

典型的な関心点説明
相続税・税制特例配偶者控除や土地評価減などの適用可能性を把握する必要があります。
遺産分割の合意形成相続人間で円滑な話し合いや協議が不可欠です。
不動産相続の負担維持費や登記手続きへの対応を検討する必要があります。

こうした関心点を踏まえ、相続への備えを始める第一歩として、早めの情報収集や専門家への相談を検討することが重要です。手続きの期限は厳しく、特に相続放棄の検討は3ヶ月以内に行う必要があり、適切な判断と準備が必要です。

50代・60代の夫婦が取るべき相続対策のポイント

50代・60代は、体力も判断力もまだしっかりしている時期であり、相続対策を始めるには最適なタイミングです。ここでは、ご夫婦が安心して相続に備えるための3つのポイントを表形式でわかりやすく整理してご紹介します。

対策の内容 具体的な方法 期待できる効果
遺言書・エンディングノート 遺産分割方法の明記、公正証書または自筆証書遺言の作成 相続トラブルの予防、ご自身の意思の尊重
家族間コミュニケーション 相続の希望や想いを話し合う場を持つ 理解と納得が得られ、円滑な分割が可能に
専門家への相談 弁護士・司法書士・税理士などへ相談し、書類作成や手続きを支援 法的リスクの回避、書類の正確性、安心感の確保

まず、まだまだ先のことではありますが、知っておいて損はない「遺言書」の作成は非常に有効な手段です。

遺言書には、法定相続と異なる配分や不動産など複雑な財産の分割について明記でき、ご自身の意思を明確に残すことで相続トラブルの予防につながります。

自筆証書遺言では全文自書・日付・押印が必要で不備があると無効になる可能性がある一方、公正証書遺言は証人や公証人による作成のため、形式的にも安心です。

次に、エンディングノートは法的効力こそありませんが、想いや希望を書き留めることで家族への気持ちを伝えるツールとして非常に有用です。

専門家によれば、“思いやり遺言”として、付言事項に感謝や気持ちを記すことで、家族間の理解を深める効果があります。

また、家族間で相続について話し合うことは、誰が何を望んでいるかを明確化し、後の分割協議をスムーズに進める上で重要です。気持ちや状況を共有する機会を持つことが、争族の回避につながります。

最後に、専門家への相談は大きなメリットがあります。

遺言書の形式不備や遺留分を侵害しない配分の検討など、法律・税務・手続き上のリスクを回避できるだけでなく、遺言執行者の指定や手続きの代行など、安心して相続準備を進めることができます。

相続準備にあたって重要な法律・税務の基礎知識

相続準備を進めるにあたって、法律面と税務面の基本を正しく理解することが大切です。

まず、相続税の基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」であり、この制度は2025年においても変更なく適用されています。

また、各相続人の税率は取得額に応じて10%〜55%までの累進課税になっており、具体的な速算表も公表されています。

次に、相続税を軽減する制度として、「配偶者控除」「小規模宅地等の特例」「生前贈与」「相続時精算課税制度」などがあり、活用の意義が大きいです。

たとえば、配偶者控除では「1億6,000万円または法定相続分のどちらか多い方」まで非課税となる制度があります。

また、小規模宅地等の特例を使えば、自宅や事業用宅地を最大80%評価減でき、実質的な税負担を大きく減らせます。

贈与対策においては、2024年1月から「相続時精算課税制度」に年間110万円の基礎控除が新設され、110万円以下の贈与は申告不要かつ相続財産に加算されないようになりました。

さらに、生前贈与に関する「持ち戻し期間」は従来の3年から将来的に7年へ段階的に延長される予定です。

法律面では、不動産の相続登記が義務化され、相続開始の日から3年以内に登記しなければ、過料(罰金)が科されるようになりました。

また、相続税の申告期限は相続開始を知った日の翌日から10か月以内であり、期限を過ぎると延滞税や加算税などが課されるため、余裕をもって対応することが必要です。

以下の表に、法律・税務の基礎要件をまとめました。

項目 概要 注意点
基礎控除額 3,000万円+600万円×法定相続人の数 2025年も変更なし
小規模宅地等の特例 土地評価額最大80%減 要件を満たす場所への適用が重要
相続登記の義務化 相続後3年以内に登記が必要 未対応の場合、10万円以下の過料

これらの法律および税制の基礎を踏まえて、ご自身やご夫婦の資産をどう守り、円滑に承継するかを計画していきましょう。

最新の制度変更に対応しつつ、安心した相続準備を進められるよう、定期的な情報収集と専門家へのご相談をおすすめします。

50代・60代夫婦向けの相続準備を進める具体的ステップ

50代・60代のご夫婦が相続準備を進める際、まず取り組むべき3つのステップをご紹介します。

身近な財産について整理を始めることで、負担を軽減しスムーズな対策につながります。

まずは「財産一覧の作成」です。具体的には、現金・預貯金、不動産、株式・投資信託、保険、債務など、持っている資産・負債を漏れなくリスト化しましょう。

これにより、相続全体の把握がしやすくなります。

次に「必要書類の整理」です。

主に以下のような書類が必要となります(すべての手続きで共通):

項目具体例入手先
相続関係を証明する書類被相続人の出生~死亡までの戸籍謄本、住民票の除票等市区町村役場
相続財産に関する書類固定資産税評価証明書、登記事項証明書、預貯金の残高証明書等市役所、法務局、金融機関
相続人の情報証明相続人全員の戸籍謄本、住民票、印鑑証明書等市区町村役場

表の内容は、相続手続きを進めるための基本となります(共通書類)。

最後に、「夫婦間での共有と専門的サポートの活用」が重要です。実際にご自身で用意されたリストや書類を、互いに確認し合うことで、漏れや誤りを防げます。

また、ご不安な場合には、相続に詳しい司法書士や税理士に相談することで、段取りや書類の不備を防ぎ、安心して進められます(手続きの正確性や精神的な安心感に繋がります)。

当社では、こうしたステップを「お気軽に相談できる第一歩」としてサポートしています。

まずはお問い合わせフォームやお電話にて、ご状況を気軽にご相談いただけます。

初回のお問い合わせから、書類整理や進め方のご案内まで丁寧に対応いたします。どうぞお気軽にご連絡ください。

まとめ

相続は誰にとっても、避けては通れない大切なテーマです。

早めに準備を始めることで、不安や負担を減らすことができます。

自分たちの意思を明確にする手続きや家族との話し合い、法的・税務的な知識の整理が、トラブル防止や円満な相続につながります。時間が経過し、考え方が今と変わっても良いのです。

むしろその方が一般的です。

一度ご自身の資産というものを整理していただきたく今回の記事をまとめました。

一度向き合っていただく事で、安心して未来に備えることができます。

相続準備を通じ、ご自身とご家族にとって最良の選択を一緒に考えてみませんか。

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