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相続不動産の名義変更は夫婦でどう進める?手続きや必要書類のポイントも解説

不動産コラム

安孫子 桂也

筆者 安孫子 桂也

不動産キャリア15年

20代で仙台の分譲マンション販売に携わり、その後、大手不動産会社にて経験を積みました。まだまだキャリアは15年ほどと浅いですが「お客様に寄り添ったわかりやすい説明」を心がけております。

「夫婦で不動産を相続したが、名義変更はどうしたらいいの?」と悩んでいませんか。

不動産の相続は人生で何度も経験することではなく、手続きや必要な書類、費用、注意点も分かりづらいものです。

しかし、名義変更を放置してしまうと後々大きなトラブルやリスクが生じる可能性も。

この記事では、夫婦で不動産相続を受けた際の「名義変更」の基礎知識から手続きの流れ、注意点、安心して完了させるためのステップまでを分かりやすく解説します。今後の安心のために、正しい知識と対策を身につけましょう。

相続不動産の夫婦名義変更とは

相続登記の義務化により、不動産を相続した場合には名義を変更する手続きが法律上の義務となりました。

これは2024年(令和6年)4月1日から施行されており、不動産を相続したことを知ってから3年以内に申請を行わないと、10万円以下の過料が科される可能性があります(過去の未登記相続分も対象です)。

夫婦で相続した場合、どちらかあるいは両方の名義への変更を適切に行う必要があります。

他の方法、生前贈与や財産分与による名義変更は、任意で手続きの義務はありませんが、相続登記と混同しないよう注意が必要です。

特に生前贈与や財産分与では、登記しないと第三者に所有を主張しづらくなり、リスクが生じます。

名義変更の原因義務特徴
相続登記
(夫婦相続)
法律上の義務3年以内に申請、過料の可能性あり
生前贈与任意登記しないと第三者対抗力が弱まる
財産分与任意協議による名義変更可能

以上のように、相続登記は義務として期限内に行うことが求められ、それに対して生前贈与や財産分与による名義変更は任意である点が相違点です。

適切な対応により、将来のトラブルを防ぐことにつながります。

夫婦で不動産相続を受けた場合の手続きの流れ

不動産を夫婦で相続した際の名義変更手続きは、慎重かつ正確に進めることが重要です。

以下に主な流れとポイントをご説明します。

まず、必要書類としては、戸籍謄本(被相続人の出生から死亡まで)、住民票の除票や戸籍の附票、相続人(夫婦双方)の戸籍謄本・住民票、遺産分割協議書などが必要です。

遺言がある場合はそれに基づいた書類も必要になります。

法務局提出時には固定資産評価証明書や課税明細書も揃えます。

次に、登録免許税などの費用については、不動産の固定資産税評価額に税率を乗じて計算します。

相続の場合の税率は0.4%で、例えば評価額1,000万円であれば登録免許税は約4万円です。

また、書類取得の実費として数千円程度が必要になります。

手続きを自身で行う場合は、書類収集や法務局への申請を自ら進める必要があるため、時間や手間がかかります。

一方、司法書士などの専門家に依頼すれば、必要書類の取得代行や申請書の作成、手続きのスムーズな進行といった安心面でのメリットがあります。

手数料の相場としては、不動産1件あたり5〜30万円程度が一般的です。

以下に、手続きステップを簡潔に表形式でまとめました。

ステップ 内容 ポイント
必要書類の収集 戸籍謄本・住民票類・遺産分割協議書など 正確かつ漏れなく取得することが重要です
費用計算 登録免許税:評価額×0.4%、書類取得の実費 評価証明書で評価額を確認しましょう
申請方法選択 自身で手続きするか、司法書士に依頼するか 手間と安心のバランスで選びましょう

これらの手続きを順序立てて進めることで、夫婦間で相続した不動産の名義変更を確実に行うことができます。

不備や遅延を避けるため、早めの対応をおすすめいたします。

夫婦での相続不動産名義変更の注意点

夫婦で不動産を相続した際、名義変更(相続登記)は慎重に進める必要があります。以下、重要な注意点をご紹介します。

注意点 内容
数次相続のリスク 相続登記を怠ると、相続人が死亡し続けて人数が増え、遺産分割協議が複雑化します。遠縁の親族との協議になると合意形成が困難です。
税制上の優遇措置 配偶者は「配偶者控除」で相続税が1億6千万円まで非課税になるケースがあり、「小規模宅地等の特例」で330㎡までの居住用地評価を80%減額できます。併用も可能ですが、適用要件やシミュレーションが重要です。
期限内手続きの重要性 相続登記は「相続を知った日から3年以内」に義務となっており、期限を過ぎると10万円以下の過料が科される可能性があります。また登記を放置すると、売却や活用ができず将来的に困難になることもあります。

まず、相続登記を怠ることで起こる「数次相続」は、相続人が次々と増え、協議が長期化し合意に至らない事態を招きます。

これは実務上、最も多くの時間と労力を要する問題です。

次に、税制面では、配偶者に対する配偶者控除により最高1億6,000万円または法定相続分まで相続税がかからない特例があります。

また「小規模宅地等の特例」では330㎡までの居住用地に対し80%の評価減が可能です。

これらは併用可能ですが、評価額によってはどちらを優先するか判断が必要です。

そして、相続登記は2024年4月の法改正により義務化され、「相続を知った日から3年以内」の申請が求められます。

期限を超えると最大10万円の過料が課される可能性がありますし、登記がなければ不動産の売却・活用が制限され、将来的な手続きの負担が増すリスクもあります。

以上の理由から、夫婦で不動産を相続された場合、複雑な相続関係や税制特例の選択、そして法定期限の遵守を確実にすることが、安心・安全な名義変更を実現するための鍵です。

夫婦で不動産相続を受けた方への次のステップ

相続不動産の名義変更は、今後の安心と安全のためにも早めに行動することが重要です。

まずは、ご自身が取得された不動産を管轄する法務局や市役所に問い合わせ、固定資産税評価証明書や必要書類の内容を確認することをおすすめします。

評価証明書は登録免許税の計算に不可欠で、税率や算出方法も問い合わせで正確に把握できます。

具体的には、不動産の固定資産税評価額に0.4%を乗じた額が登録免許税として必要であることが確認できますので、ご参考ください(相続登記の場合)。

確認項目場所内容
固定資産税評価額の確認市役所・税務担当評価証明書または課税明細書
管轄法務局窓口法務局必要書類一覧や申請方法(窓口・郵送・オンライン)
登録免許税率・納付方法法務局評価額×0.4%の計算方法・納付方法(収入印紙・オンライン)

次に、司法書士への相談・依頼の検討をおすすめいたします。

専門家に依頼することで、書類不備による再提出や手続きの遅延リスクを避けることができ、安心して名義変更が完了します。また、司法書士に依頼する場合の報酬は、不動産1件あたり概ね5万円〜15万円程度が相場で、初回無料相談を提供している事務所も多く存在しますので、気軽に相談してみてください。

相続登記は2024年4月1日より義務化され、相続を知った日から3年以内の申請が求められ、期限を過ぎると10万円以下の過料が課せられる可能性があります。

早めに行動することで、こうしたリスクを回避し、結果としてご夫婦にとって安心・安全な名義変更につながります。

ご自身とご家族を守るためにも、ぜひお早めの対応をご検討ください。

まとめ

不動産の相続において夫婦で名義変更を行う際は、相続登記の義務化や各種手続きの流れ、必要書類、費用の計算方法などを正しく理解しておくことが大切です。

期限内の手続きを怠ると将来的なトラブルや過料のリスクが生じるため、早めの準備と行動が安心につながります。

難しい点があれば専門家への相談も選択肢に入り、スムーズな名義変更の第一歩になります。

正確な情報を確認し、一つ一つ進めていきましょう。

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